「機械でもできなくないでしょうが、槌目はやっぱり手仕事に限りるんですよね。ひとつとして同じものはないですし、なにより人間の温かみを感じてもらえるんじゃないかなって思うんです。ただ、どうしても手仕事の製品って高くなるでしょ?私たち職人にとっては寂しいことですけど、多くの人がデザインだけで買う傾向にあるわけで、もう少し物を見る目を肥やしていただければうれしいんですけどね(笑)」
ぐい呑ひとつにしても、その工程は多岐に渡る。銀魂からのし板状の板を作るための溶解(ようかい)、それを必要な薄さまで延ばす圧延(あつえん)、金槌で叩いて形を作る鍛金(たんきん)、仕上げ師による加飾、仕上げ。どこをとっても人の手を介さないものはない。それぞれの工程でそれぞれの職人が目を光らせ、納得のいくまで作業を繰り返す。製品ができるまでの工程を知ることは、その価値を知ることにもつながる。
「叩いて作ったものは叩いて直る、というのが私の持論なんですよ。逆に機械で作ったものは、機械じゃ直せないですよね。たとえば銀器を落としたとします。へこみますよね。でも道具があるからまた元に戻るわけなんです。それは手仕事でなきゃできないことじゃないかと思うんです。昔から言うじゃないですか、高いものは長持ちするって(笑)。手仕事は手間がかかる分、高価ですよ。だけど何十年も使えるし、そうであるための責任を職人は製品に負っているわけなんです」
銀器は300年持つと言われている。表面に付いた傷や風化は味わいとなり、使い込む程に特有の光沢を放つ。最近ではその抗菌作用が広く知られるようになったものの、まだまだ一般家庭では馴染みが薄い。後世へと脈々と受け継がれてきた技の結晶。この機会に手に入れてみるのもいいかもしれない。
株式会社 森銀器製作所
住所 東京都台東区東上野2-5-12
電話 03-3833-8821
HP http://www.moriginki.co.jp/
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使用する当て金は約300種類、金槌だけでも約50本。作る製品に合わせて職人が手作りする
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